お役立ち記事 No.73

葬儀費用は誰が払う?喪主・相続人・親族で負担を決める考え方

契約者と支払者、喪主、相続人は同じとは限らない。家族で記録したい事項を解説

葬儀費用について、「喪主が全額払うのか」「故人の預金から出せるのか」「兄弟で分けるべきか」と迷うことがあります。喪主、葬儀社との契約者、実際の支払者、相続人は、必ずしも同じ人ではありません。

葬儀社に対しては、原則として契約書に署名した人が支払条件を負うことになります。一方、家族内で最終的に誰が負担するかは、故人の意思、相続財産、香典、親族の合意、地域の慣習等を踏まえて整理します。

この記事では、役割の違い、故人の預金を使う場合の注意、兄弟姉妹で分担する方法、領収書と記録の残し方を解説します。

先に結論|葬儀社との契約と、家族内の負担を分ける

まず確認するのは、葬儀社との契約者と支払期限です。家族内で「相続財産から払う予定」と話していても、預金がすぐ引き出せるとは限りません。契約者が支払える資金を一度確保し、後から家族で精算する場合は記録を残します。

整理する人は次のとおりです。

  • 喪主:遺族の代表として式を進める人
  • 契約者:葬儀社と契約し、請求先になる人
  • 支払者:現金・振込等で実際に支払う人
  • 相続人:相続財産を承継する可能性がある人
  • 香典管理者:香典を記録・保管する人

喪主が必ず全額払うとは限らない

喪主は、参列者への挨拶、宗教者との対応、家族の代表等を担います。しかし、喪主という肩書だけで、家族内の費用負担が自動的に決まるわけではありません。

高齢の配偶者が喪主を務め、支払いは成人した子が行うこともあります。兄弟姉妹が分担する、故人が準備した資金を充てる、親族が援助するなど、家庭により異なります。

葬儀社との契約者を確認する

契約書には、申込者、請求先、支払期限、キャンセル等が記載されます。複数人で払う予定でも、葬儀社からの請求は一人へまとめられることがあります。

署名前に次を確認します。

  • 契約者は誰か
  • 請求書・領収書の宛名
  • 支払日と方法
  • 分割して複数人から振り込めるか
  • 見積変更を承認できる人

家族内で意見が分かれている場合は、契約者一人が追加注文を決めないよう、承認方法を決めます。

故人の預金から払う場合

金融機関は死亡を知ると口座取引を制限することがあります。キャッシュカードや暗証番号を知っていても、死亡後に家族の判断だけで引き出すと、相続人間の説明が難しくなる場合があります。

相続開始後の預貯金には、法律上の払戻し制度や金融機関独自の相続手続きがあります。利用できる金額、必要書類、支払先は金融機関へ確認します。葬儀まで時間がない場合は、家族が立て替え、領収書を保管する方法も検討します。

故人が生前に葬儀用として家族へ預けた現金がある場合も、金額、預けた日、目的、保管者を記録します。相続・贈与の判断に関わる可能性があるため、金額が大きい場合は専門家へ相談します。

兄弟姉妹・親族で分担する方法

均等に分ける

分かりやすい方法ですが、収入、介護負担、故人から受けた援助等が異なると、不公平に感じることがあります。

相続割合を参考にする

遺産の取得割合に応じて負担する案です。ただし、遺産分割が未定の段階では確定できず、相続放棄を検討する人もいます。

項目ごとに担当する

長男が葬儀社、長女が料理、別の親族が宗教者へのお礼を負担する方法です。領収書の名義と総額を一元管理します。

一人が立て替え、後日精算する

葬儀を急いで進めるときに現実的ですが、立替金と本人が負担する金額を分けて記録します。現金の受け渡しも受領書や振込記録を残します。

香典の扱い

香典は、一般に遺族への弔意と葬儀費用を助ける意味を持ちます。誰が受け取り、葬儀費用へいくら充て、残額をどう管理するか、家族で決めます。

香典帳には、名義、金額、住所、返礼、受領日を記録します。葬儀社への支払いに使った場合も、会計表へ入れます。香典を一人の私的なお金と混ぜないよう、専用口座や封筒で分けます。

相続税上の葬式費用

国税庁は、相続税の計算上、被相続人の葬式に際して相続人等が負担した一定の費用を、相続財産から控除できると案内しています。一方、香典返し、墓石・墓地、法要等、控除対象にならない費用もあります。

誰が負担したか、何の費用かを説明できるよう、請求書・領収書、支払日、支払者を保管します。個別の対象範囲は税理士・税務署へ確認してください。

相続放棄を検討している場合

葬儀費用を支払ったことだけで直ちに相続を承認したと一律に決まるわけではありませんが、故人の財産の処分方法によって判断が問題になる場合があります。相続放棄の期限は原則として自己のために相続開始があったことを知った時から3か月です。

借金の可能性がある、相続放棄を検討している、故人の口座から支払いたい場合は、早めに弁護士等へ相談します。

記録する一覧

  • 葬儀社との契約者
  • 各請求書の支払者と金額
  • 立替えと精算日
  • 香典の合計と使用額
  • 故人の資金を使用した場合の根拠
  • 返金・給付金の受取人
  • 領収書の保管場所

よくある質問

Q1.兄弟で均等負担にしなければなりませんか?

法律上、葬儀費用を必ず均等負担する一律のルールがあるわけではありません。喪主、契約者、相続人、親族間の合意、故人の財産、地域慣習などを踏まえ、負担額と支払期限を記録します。

Q2.故人の口座から葬儀費用を先に引き出してよいですか?

死亡後の預貯金は相続財産です。相続人の合意なくカードで引き出すと争いにつながることがあります。金融機関の払戻し制度や仮払い、立替記録について専門家へ確認します。

Q3.葬儀費用は相続税の計算で差し引けますか?

一定の葬式費用は相続税上、相続財産から控除できる場合がありますが、香典返し、墓地・墓石等は扱いが異なります。領収書と明細を保存し、税理士・税務署へ確認します。

まとめ|役割と支払いを言葉で決め、書面に残す

喪主、契約者、支払者、相続人は同じとは限りません。葬儀社への支払いを遅らせないための資金と、家族内の最終負担を分けて考えます。

家族関係や相続に不安がある場合は、葬儀の場で結論を急がず、立替えとして記録し、専門家へ確認してください。ハシモト葬祭では、請求先や領収書の分け方について、契約前にご相談いただけます。

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